Generativity Lab™

次世代に何かを繋ぐ「社会還元共有型」マーケティング™が企業と社会を変える

美の追求は、美しい社会の追求「thrive Causemetics」が支持される理由

 アメリカでは昨今、ブランドが売るものが商品をかたどった「ミッション」になりつつあります。消費者が商品を選ぶ際、そのブランドのミッションへのコミットメントが、重要選択要素になってきているのです。

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美の追求もミッションありきに

 2020年があけて、今年はそんな傾向がさらに強くなるのでは?とも推測していますが、こうしたブランド姿勢を早くから示し、女性たちから絶大な支持を得るようになった化粧品ブランドを紹介したいと思います。

 

 そのブランドとは「thrive Causemetics」。「美の追求は、美しい社会の追求である」というミッションのもと、2015年に誕生した比較的新しい企業です。若干26歳(当時)だったファウンダーのKarissa Bodnar女史が、24歳で急逝した親友への遺志を継ぎ立ち上げた同社は、販売する商品を通して「女性の成長を支援する」ことを目指しています。

 

 同社では、収益の一部を女性の社会支援のために寄付しています。提携している非営利団体は50以上。女性ホームレス、性的虐待を救うためだったり、女性のがん患者支援、女性兵士たちの社会支援など、寄付をする支援先の幅が広いのも特徴です。昨年6月までの実績で、寄付された総額は4000万ドル。20代の女性がたった数年で成し遂げた実績であることを考えると、これは本当にすごいことだと思います。

 

 またBodnar女史の30歳の誕生日だった昨年にはそれを記念し、全米で最も大きな性的暴行救済組織であるRAINNや、女性ホームレス支援で知られるUpword Bound Houseなどを通じて、3000万ドル分にも及ぶ同社商品を寄付したことも注目を浴びました。こうした実績が評価され、彼女は昨年、『フォーブス誌』が選ぶ、「アメリカで最も成功した女性起業家」の一人にも選出されています。

 

 女性たちを熱狂させる理由は、商品自体がサステイナブルエシカルということも大きいと言えるでしょう。商品はパラベンや硫酸塩を使用せず、肌に優しく完全ヴィーガン、100%動物実験なしでつくられていることが大きな特徴。こうした要素が重要視されるのは、もはや「当たり前」という感も。逆にいえば、環境配慮がなされない商品は、どんなに素晴らしくても受け入れられない世の中になりつつある、ということかもしれません。

 

 最後になりますが、同社がマーケティング的にもうまく行った点は、そのブランド名の付け方にあったとも思います。ブランド名がコスメティクスではなく、社会的意義を示す「Cause」を使った「コーズメティックス」という造語を用いている分かりやすさも、このブランドが認知された要因と言えるでしょう。