Generativity Lab™

次世代に何かを繋ぐ「社会還元共有型」マーケティング™が企業と社会を変える

お知らせ:今後のジェネラティビティ・ラボについて

新型コロナウイルスの影響で、天地がひっくり返るほどの騒ぎのアメリカ。そのため、すっかり更新が滞ってしまいましたが、そんな混乱の中、希望を持てる展開があり、近くブログを移行させつつ、活動をもう少し分かりやすくする予定です。

 

その流れでお知らせなのですが、この4月より、関西学院大学に新設された「ジェネラティビティ研究センター」の客員研究員に就任させていただきました。また、アメリカではオンライン高校が母体となるProvidence Global Academyの正式パートナーになりました。日本だけでなく、世界に向けてのリカレント教育や次世代還元教育を、今後作っていく予定です。

 

よきパートナー、素晴らしい組織の応援を得ることができ、これから本格的に色々始められる形となりました。世の中が大転換期であるからこそ、COVID-19後の社会が、多くの人にとって絶望ではなく希望ある未来を生み出せるものになるよう、微力ながら出自分の出来ることを精一杯続けようと思っております。

 

次の更新までで少しお時間頂きますが、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。

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美の追求は、美しい社会の追求「thrive Causemetics」が支持される理由

 アメリカでは昨今、ブランドが売るものが商品をかたどった「ミッション」になりつつあります。消費者が商品を選ぶ際、そのブランドのミッションへのコミットメントが、重要選択要素になってきているのです。

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美の追求もミッションありきに

 2020年があけて、今年はそんな傾向がさらに強くなるのでは?とも推測していますが、こうしたブランド姿勢を早くから示し、女性たちから絶大な支持を得るようになった化粧品ブランドを紹介したいと思います。

 

 そのブランドとは「thrive Causemetics」。「美の追求は、美しい社会の追求である」というミッションのもと、2015年に誕生した比較的新しい企業です。若干26歳(当時)だったファウンダーのKarissa Bodnar女史が、24歳で急逝した親友への遺志を継ぎ立ち上げた同社は、販売する商品を通して「女性の成長を支援する」ことを目指しています。

 

 同社では、収益の一部を女性の社会支援のために寄付しています。提携している非営利団体は50以上。女性ホームレス、性的虐待を救うためだったり、女性のがん患者支援、女性兵士たちの社会支援など、寄付をする支援先の幅が広いのも特徴です。昨年6月までの実績で、寄付された総額は4000万ドル。20代の女性がたった数年で成し遂げた実績であることを考えると、これは本当にすごいことだと思います。

 

 またBodnar女史の30歳の誕生日だった昨年にはそれを記念し、全米で最も大きな性的暴行救済組織であるRAINNや、女性ホームレス支援で知られるUpword Bound Houseなどを通じて、3000万ドル分にも及ぶ同社商品を寄付したことも注目を浴びました。こうした実績が評価され、彼女は昨年、『フォーブス誌』が選ぶ、「アメリカで最も成功した女性起業家」の一人にも選出されています。

 

 女性たちを熱狂させる理由は、商品自体がサステイナブルエシカルということも大きいと言えるでしょう。商品はパラベンや硫酸塩を使用せず、肌に優しく完全ヴィーガン、100%動物実験なしでつくられていることが大きな特徴。こうした要素が重要視されるのは、もはや「当たり前」という感も。逆にいえば、環境配慮がなされない商品は、どんなに素晴らしくても受け入れられない世の中になりつつある、ということかもしれません。

 

 最後になりますが、同社がマーケティング的にもうまく行った点は、そのブランド名の付け方にあったとも思います。ブランド名がコスメティクスではなく、社会的意義を示す「Cause」を使った「コーズメティックス」という造語を用いている分かりやすさも、このブランドが認知された要因と言えるでしょう。

 

 

 

ブラックフライデーとセット!「ギビング・チューズデイ」って何?

 日本でもアマゾンが今年日本で初めて、ブラック・フライデーのセールを行うことになりました。もともとアメリカではブラック・フライデーは「感謝祭」とセットで楽しむ慣習なのですが、ブラック・フライデーの後の「ギビング・チューズデー(Giving Tuesday)」もまた、忘れてはならない恒例の行事でもあります。

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ホリデーシーズン、自分や家族以外の誰かのために

 ギビング・チューズデーとは、アメリカ合衆国の感謝祭が終わった翌週の「火曜日」を指します。年末年始の休暇が始まる楽しい時期に先駆け、社会を良くするための何らかの支援をしようというムーブメントで、2012年にニューヨークの慈善団体92nd Street Yと国連基金が始めたものです。

 

 この時期になるとアメリカの非営利団体、慈善団体などは、ハッシュタグ「#GivingTuesday」を使い、一気に寄付金集めをはじめます。最近ではフェイスブック上でギビング・チューズデーのための募金が出来るようになったため、多くの慈善団体はそのシステムを使うことが多いようです。

 

 フェイスブックの理由は、非営利団体にとっはメリットしかありません。以前「501(c)3」について説明しましたが、米国に拠点がある「501(C)3」の非営利団体には、「マッチング・ファンド」と呼ばれるプラスαの寄付金を集めることが出来るからです。

 

 マッチング・ファンドとは、フェイスブックがギビング・チューズデーのために募った寄付金総額を、非営利団体に分配する方法がとられます。今年はFacebookで700万ドルの適格な寄付が行われるまで、先着順で1ドルずつマッチングされることになっています。つまり非営利団体としては、ここで寄付を集める活動をするだけで、集められる寄付額が倍増する可能性もあるのです。

 

 ちなみにマッチング・ファンドに対し最大寄付してきたのは、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツの財団「Bill & Melinda Gates Foundation」です。昨年だけでも彼らが寄付した金額は200万ドルにもなります。

 

 感謝祭の後には、ブラック・フライデーの他に、翌週月曜日にあるサイバー・マンデーなど、商業活動が盛んになります。こうした消費者主義に対抗するものとして、根付いたのがこのギビング・チューズデー。年の瀬に、自分や家族以外の人のため手を差し伸べよう!という、とても素敵なムーブメントだと思います。しかも、501(3)の団体に寄付をすれば、それは税金控除の対象にも。寄付する側にもメリットもあるため、アメリカではムーブメントがあっという間に定着したという背景も忘れてはならないポイントだと思います。

世界一環境に優しい「旅行代理店」の素敵な取り組み

 「どうせ旅をするのなら、環境に優しく『地球』をまるごと楽しめるような、学び絵旅行を計画したい」――そんなニーズに応えてくれる旅行代理店があります。

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地球をまるごと学べる、環境に優しい旅に出よう!

 2001年に設立された「Responsibility Travel (責任ある旅行社)」。2001年にイギリスで創設され、現在はアメリカにも拠点があります。設立以来同社は「環境に優しい、エシカルサステイナブルな旅」をテーマに旅行プログラムを販売し続けており、現在は6000種類もの「特別な旅」を扱っています。

 

 小さな旅行代理店の彼らが6000種類の旅を扱えるのには、理由があります。それは、地球に点在する、彼らよりももっと小さな400もの代理店と同じ志のもと、丁寧に信頼関係を築いているからです。その400社はそれぞれ、特定の場所や活動に情熱を持つ、そのエリアの専門家だったり、活動家だったりもします。

 

 400社が一つの志を束ねた、いわばコミュニティーの場がResponsibility Travel。そしてその400社がもつ現地のコミュニティ。それぞれの土地で、そこでしか出会えない人たちとの絆を大切に築いているからこそ提供できる旅には、アフリカでライオンの子供を飼育する体験、キューバを自転車で巡るもの、南アフリカで象の飼育のボランティアに参加する旅など、他の旅行代理店ではちょっと扱いがないようなものもたくさん。日本の旅も充実していて、「車いすでも安心して楽しめる日本旅行」というプログラムなどもありました。

 

 お金の流れも、フェアトレードの精神に基づいています。旅行で使われるお金が、その旅のプログラムを提供される現地の現場へと「確実に」行くようにデザインされているのはもちろん、現地の文化慣習を傷つけるような、営利優位で搾取的な運営が行われることもありません。

 

 このような取り組みだけでも素晴らしいと思うのですが、さらに素敵なのは彼らのチャリティプログラムです。旅を楽しむ経済的余裕や健康的な理由でなかなか外出できないような家庭の子供たちを支援するために、「Trip for a Trip」というプログラムがあるのです。同社では、売り上げの1%がそうした子供達への「日帰り旅行」のギフトに充てられています。

 

 プログラム開始以来、2,500人以上の子どもたちが、「特別な1日」を楽しんだと言います。彼らの活動を支援するスポンサーなどの協力も得ながら、2023年までに100万人の恵まれない子供や若者に素晴らしい一日を送ることができることを目標にしているとのこと。本当に素敵です。

 

 最後に同社の活動が分かる動画を貼っておきます。

www.youtube.com

 

 

子供が社会還元を学ぶプログラム、「ペニー・ハーベスト」とは?

 「地球環境や社会と自分とのつながり」を小さな頃から意図的学ばせる環境作りも、現代社会には必要な要素と言えるでしょう。

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教室を出て、社会を学ぼう!

 アメリカではそんな「学び」の一環として、『ペニーハーベスト・プログラム』と呼ばれるものがあります。1991年に設立されたThe Common Centsという非営利団体が運営するプログラムで、長い活動実績があります。プログラムはだいたい1年間かけて行うようにデザインされており、参加対象となるのは4歳から14歳までの子供です。

 

 彼らはまず、ペニー・ハーベストでプログラム運営のためのトレーニングを受けたファシリテーターと共に活動計画を立て、自分の住む地域の課題を徹底的に調査します。その課題に対して取り組む個人や非営利団体、企業などを訪ねて、必要あればフィールドスタディを実施。その上で寄付や支援が必要な団体をリストアップし、最終的には自分たちで支援計画をたて、募金活動を行います。

 

 社会の課題に意識的を向ける大切さや、寄付先を主体的に考え、実際に寄付やボランティア活動行うことは、子供たちに「社会の一員としての自覚」を学ばせる素晴らしい機会であることは間違いまりません。この活動が実践される街では、コミュニティ全体がペニー・ハーベストの活動に協力することで、子供たちの学びを助けるのだそうです。現在この活動は、同団体の所在地であるニューヨークを中心に展開されています。他州でいうと、コロラド州カリフォルニア州ロサンゼルス市、オハイオ州の一部とそれほど大きくはないのですが、プログラムのファシリテーターは他州からも応募があると言います。

 

 この活動が素晴らしい点は、1年間のプログラムを終えた生徒たちの多くが、さらに社会のために何かを還元しようと自主的に動くようになることです。例えば昨年には、ニューヨークに住むプログラム受講経験者の子供の何人かがあつまり、コミュニティー・ガーデンへの植樹や、移民への英語教育支援がプロジェクト化されたと言います。

 

 学び、経験、社会還元がすべて一連の流れで学べるこのプログラム。こうした取り組みはSDGsを誰もが考えねばならない時代だからこそ、ますます必要になっていく気がします。

 

意外な州が断トツ? 全米で最も社会還元活動に積極的な州とは?

 アメリカで断トツにお金持ちが多くいる地域というと、ニューヨーク州やカリフォルニアを思い浮かべるのではないでしょうか? しかしアメリカの場合、州ごとの統計をみると、お金持ちの州が社会還元や慈善寄付に積極的とは言えないようです。

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興味深いランキングの結果は??

 「寄付」という行為は、アメリカにおいては二つの側面をもっています。一つもちろん社会を良くするため、そしてもう一つは税金控除のためです。特に富裕層や企業にとって、後者の税金控除は重。ですから、ファイナンシャル・アドバイザーの中には、社会への寄付を専門にアドバイスを行うような人もいるほどです。

 

 この時期になると、毎年「その年にどの州が一番社会還元をしたか」というような統計が出ますが、金融媒体『SmartAsset』が先月末に発表した統計によると、今年一番慈善活動に積極的だった州は、ユタ州となっています。この統計はアメリカのメトロエリア(大型都市)200か所を対象に、所得に対する慈善寄付、慈善寄付に対する納税申告の割合、平均慈善寄付、ボランティア率、およびボランティアとして過ごした時間を統計し、導き出したもの。ユタ州は何とトップ3つのメトロ・エリアを独占(Provo-Orem、Ogden-Clearfield、Salt Lake Cityの3か所)、しかもユタ州が上位になるのは、実は毎年のことです。

 

 その他のエリアをみると、バージニアノースカロライナ、アイダホ、オクラホマ州などの大型都市が上位にランクインしています。文頭にあげたニューヨークとカリフォルニア州は、トップ10には入っておらず、かろうじてトップ20の19位に、カリフォルニア州のサンディエゴがランキングされているのみです(ニューヨークは圏外です)

 

 ランキング上位に最大の要因は宗教にあります。 ユタの場合はモルモン教が人口の多くを占めていますが、信仰に熱心な州という点では、ミシシッピ州アラバマ州ルイジアナ州サウスカロライナ州が続きます。また、政治的にみると、これらの州は保守傾向が強いという特徴もあります。ですからアメリカで行われている社会還元活動を知るには、保守州や保守層の動向は無視することは出来ません。

 

 しかし一方で、先にも述べたようにこれらの州が社会還元活動に熱心な理由は宗教が密接という点もあるので、その点は留意しながらデータを読み解く必要があります。それと同時に、「宗教背景」があるこれらの州が、最近グローバル型のビジネス拠点としても、注目を集め始めている点は、無視できないものがあります。例えばユタに続く4位にランクインしたバージニア州(メトロエリアとしてはCharlottesvilleがランクイン)は、CNBCによる「アメリカでビジネスに最適な州ランキング」調査で、トップに躍り出ています。この調査はビジネスを行う上で重要だと思われる10分野64項目(労働力、経済、インフラなど)を数値化して州ごとに比較する調査ですが、バージニア州が首位に返り咲いたのは8年ぶりのこと。国防の中心地であり、アマゾンが第二本社に選んだ州ということでも、今後注目を集めそうです。

 

 ちなみに「ビジネスに最適な州」トップ10は下記の通り。

 1位:バージニア州(昨年4位)
 2位:テキサス州(昨年1位)
 3位:ノースカロライナ州(昨年9位)
 4位:ユタ州(昨年3位)
 5位:ワシントン州(昨年2位)
 6位:ジョージア州(昨年7位)
 7位:ミネソタ州(昨年6位)
 8位:ネブラスカ州(昨年14位)
 9位:コロラド州(昨年5位)
 10位:オハイオ州(昨年15位)

 

 慈善活動に熱心な州が、いくつもトップ10に入っている点は注目すべきでしょう。そして気になるニューヨークとカリフォルニアですが、ニューヨークは27位、カリフォルニアは32位とかなり下にランクインされています。